タヒボを育む大自然

 タヒボはアマゾンの多様な生物のなかで育まれます。
この土地は長い歴史の中で他の熱帯雨林と比べても圧倒的に多い種類の生物を生み出してきました。
それぞれの生物はこの複雑な生態系の中で自らを守るための物質をつくり出し、それらの物質は人間に対してきわめて有用であることもあり、各分野から注目されます。
タヒボ茶に含まれる有用成分もこの大自然がつくった物質ともいえます。


アマゾンの形成

ゴンドワナ大陸 かつて、タヒボ茶のふるさとアマゾンの熱帯雨林は現在の南アメリカよりずっと大きな、別の大陸の一部に属しました。 数億年も昔、この場所の岩層や山脈は、南半球にあった原始時代の超大陸ゴンドワナと地続きでした。ゴンドワナ大陸は南極を中心として後に西へ移動する、南アメリカ、アフリカを含む西ゴンドワナ大陸、南極大陸、オーストラリア、インド亜大陸を含み、後に東へ移動する東ゴンドワナに分けられます。現在、出っ張った南アメリカの東海岸と、引っ込んだアフリカの西海岸は当時は陸続きで、今のアマゾン川の河口にあたる場所は内陸部に位置し、現在のコートジボアールの象牙海岸辺りの隣地であったと考えられます。その時、すでに古アマゾン川は存在し、現在の流域の形が暗示するように、流れは現在とは反対の西を向いており、上流であったと思われる東の地域の流域は狭く、西に向かって河口に近づくほど広がりました。
この地形が裂けるようにして分かれたのは、およそ1億4000万年前で、ゴンドワナ大陸が、地殻深部の強い力によって、アフリカプレートと南アメリカプレートに徐々にちぎれ、分かれます。 裂け目は南大西洋、南アメリカ西部は島状大陸となり、ゆっくりと西に流されることとなりますが、西へ移動する島状大陸が、東へと移動してきた太平洋の海底とぶつかり、衝突の結果、起こったのが大陸東側での褶曲活動で、これがアンデス山脈形成の始まりです。
昔、大陸を西に流れた川の流域は、一時期「湖」となり、その間も絶えず各支流は水を供給し続けます。それと同時に各支流は土砂も運び、堆積は70〜80メートルの厚さにもなります。その後、ある時期に地殻変動が起こり、湖の水が消失し、底にある堆積物が現れます。現在の上流域の平坦な土地です。この地殻変動により大陸は東に傾き、川はギアナ楯状地と、ブラジル楯状地の狭い間を抜けて大西洋へと出口を見つけることとなります。今でも増水期には流域は大きな範囲で水に覆われ、かつて湖だったことを想像出来ます。
南アメリカ大陸はゴンドワナ大陸から離れて以来ずっと孤立した大陸でしたが、6000万年前に北アメリカ大陸との間に火山列島が持ち上がり、それが両大陸の架け橋となります。現在のパナマ周辺です。北アメリカの生物諸種がやってきたのは架け橋が形成され、陸続きとなってからのことです。この陸の架け橋の形成が比較的新しい時代であったために、南アメリカの生物は、ゴンドワナ大陸の一部だったオーストラリアと同様、外部からの干渉を受けずに独特の進化をすることとなります。


圧倒的な生物種の多さ

 現在、全世界で種として名前が付けられた生物の総数は141万種です。最も多いのは昆虫で75万種(54%)です。高等植物(被子)はそれに次ぐ25万種(17%)で、その3分2にあたる17万種は陸地総面積のわずか7%にずぎない熱帯に集中して分布します。タヒボ茶の原料となるタベブイア・アベラネダエ(タヒボ)もこの狭い地域でしか生育しません。


熱帯雨林の構造・立体的な生物分布

 タヒボ茶のふるさとは絶えず豪雨にさらされるため生物にとって養分となるミネラル等は抜けきってしまい、ごく一部の地域を除いて土壌は肥沃でありませんが、独特な生態系の中で森林は育ちます。ヨーロッパにある温帯林と比較した場合、ヨーロッパの森林が場所(緯度・経度)によって土壌や気候が違い、生物は特定の場所に群生し、変化は平面的であるのに対して、タヒボ(タベブイア・アベラネダエ)が育つ熱帯雨林では変化は立体的で、高さの違いによって生物の分布の違いを見られます。

アマゾンの色鮮やかな鳥

上部

 上空からアマゾンを見ると地上約40〜50mの濃い緑に覆われた森林の上部しか見られません。それぞれの樹木は高い場所にそれぞれの時期に花や実をつけ、葉は常緑で樹木はその葉を年間を通してゆっくりと落とします。 何百種もの色鮮やかな鳥や小型動物は、この森林上部を移動しながら生息し、地面に降りることはありません。


下部

 全ての植物は太陽に向かって成長しようとしますが、濃い緑の葉の下は十分な光がとどかずに常に暗く高湿度です。大木が倒れると小さなものは光に向かって素早く成長します。
熱帯雨林下部においては大木に巻きつき成長するものや、大木の幹に根を張り樹上で成長するものを見られます。

地面

アマゾンの巨木

 熱帯雨林の地面は常に暗く高湿度で、場所によっては1年のうちの長期にわたって水没して浸水林となり、水中に根を張る樹木を見られる地域もあります。熱帯雨林は高温多湿のために有機物の分解速度が速く、土壌は薄く、樹木が栄養を取るために根を張れる深さは、樹高と比較すると非常に浅く、写真のような板根や杖根をもつ樹木が多く見られます。樹木から落ちた種子は、土の上で成長をはじめますが、ほとんどは成長せずに枯れてしまいます。ごく一部が大木へと成長します。この地下での活動は地上以上に未解明なことが多くあります。大型動物や暗い湿地を好む植物が地面で生息します。



Curare クラーレの話

クラーレとはアマゾンの言語から英語にそのまま取り入れられた数少ない単語で、先住民がフジウツギ科の一種の樹皮から採り、狩りを行う時に利用してきた矢毒の原料のことです。 クラーレは体内に入ると神経から筋肉への電気信号を遮断し、呼吸をつかさどる横隔膜を含む筋肉を弛緩させて最終的には機能を停止させる働きをします。
1960年代後半、西洋人により、クラーレを利用した矢毒の働きが発見、研究されて以降、今では先進国の医療現場において、最も利用される物質の一つです。



熱帯雨林が重要な理由

食料となる植物品種の多さ

 3000種類以上の果物が世界の熱帯雨林に存在します。欧米はそのうち200種類程度しか利用しません。 タヒボ茶以外にも、私たちが日々利用する果物、野菜、コーヒー、チョコレート、砂糖等の食品は現在、農園、農場で栽培されますが、元々は熱帯雨林の産物です。 森に住む住民は2000以上の植物を利用します。彼らはそれらを小さな農園や住宅の周りのホームガーデンで育て利用します。

未知の物質発見の期待

 研究者たちは、毎年この熱帯雨林から新しい薬品になる有効成分をを発見します。「熱帯雨林にある品種の約10%ぐらいが利用可能なのでは?」という意見もありますが、それらを研究する間もなく早いスピードで森林が消滅し、何百もの種が失われています。 今でも何千もの種に名称がありません。
それらは新しい食品や薬品になるのでしょうか?
それはわかりません。
なぜ熱帯雨林が大切なのか?
熱帯雨林には未知の食料と人間の健康に役立つ種が存在すると期待されるからです。


生物の多様性